終末はあなたに会いたくない【感想】
こんばんわ。緋悠梨です。3ヶ月更新してないのに、今月のPV100突破してるの謎だな……あ、ありがとうございます?そんなわけで本日はこちら。
「私のあげられる『初めて』、ひとつだけ残ってた」
隕石が落ちて世界が終わる。部屋で酒に溺れていた『私』のもとに客がやってきた。それは高校時代の後輩で──私が今、もっとも会いたくない女だった。
— さちはら一紗 (@sachihara_neko) March 31, 2019
「終末はあなたに会いたくない」
5/6 #文フリ東京 に出店。チ-17でお待ちしています。
文庫/132p/800円
表紙と挿絵は緋狩(@hikari__3104)様。 pic.twitter.com/qQquO0hKzu
(あらすじは上記にあるので割愛します)
評価★★★★★
元先輩と後輩が終末世界でうだる話。二人の微妙な距離感を感じつつも相手を分かってる、というのが伝わってくるのが最高でした。「会いたくない」なんて言葉は、過去に何かがあったからこそ出てくる言葉です。
なので、この二人の関係性は決して美しいものじゃない。愛ではない、信頼でもない、かといって憎いでもない。人間関係は一筋縄ではないんですが、それ以上にこじれきった何か。一言で言い表すのがなかなか難しいこれが、とても綺麗な文章でまとめられていて「さちはらさんすげぇ」となりました。
一筋縄でいかないのは思いの強さ故。先輩と後輩、「複雑な関係性」と先述しましたが、この関係性に名前を付けるとしたら、俺は「執着」と言いたいです。「相手にこうあってほしい」と押し付けあってるように見えました。相手のことを好きだからこそ、変えたくないという執着、もしくは現状への縋り付き。こう言っては何ですが、「重い」と思いました。二人ともね。そういったところも似た者同士だなぁと。
でも、相手が自分を変えたくないと気付かない程度には、相手のことを何もわかっちゃいないんですよね……それがいいんですよ。ラストに効いてくるんですよ。好き。
人間ーー!!!って言葉がずっと頭の中を駆け巡っているが、この理由を書こうとするとネタバレになる……。
— 緋悠梨 (@ge73hy) May 6, 2019
↑これなんだと思います?これね、俺が読み終わった直後の心の叫び。ネタバレに気を使った結果がこれなんですが、いや、読んでても意味分からないな……。
でもこれなんですよ。人間だったんですよ、二人とも。人だから理想に手を伸ばせる。人だったから理想を追える。すべてを知る神は、何が起こっても面白くもなんもないんでしょう。でも、二人は人間で、相手のことが分からない。だからこそ、相手を分かりたいと願う。「二人の関係は美しいものではない」と言いましたが、相互理解を果たしたラストシーンの二人は、言葉にできないくらい美しく感じました。人間、理想に手を伸ばし続けてくれ……。
というわけで、以上です。いやもう、言葉が出ないくらい最高でしたね……。本当にありがとうございました。
それでは、本日はこの辺で失礼いたします~ノシ
※以降、ネタバレを含む話です。自己責任でお読みください。
まぎれもなく余談なんですが、「人間だった」っていう表現、我ながら気に入ってまして。お気づきかとは思いますが、
- 人から理解されなかったが、時が経つにつれ普通になっ(てしまっ)たという「やっぱり人間だった」先輩
- 最初から神になる運命を課せられており、一度道を外れかけるも結局神になった、「元は人間だった」後輩
……っていうダブルミーニングです。The 自己満。でも後輩、最後に人間として先輩に会いに来るんですよね。やっぱり「人間だった」んですよ。儚いな……。
それでは。次は藤崎さんの甘い同人誌の感想でお会いしましょう。日曜までには……!!