あるいはラノベを読む緋色

読んだラノベの感想を中心にしつつ、緋悠梨が気まぐれにいろいろ書いているブログです。コメント等お待ちしております。※「何を言っているのか」は、俺のブログ上では誉め言葉です。

ワキヤくんの主役理論【感想】

 こんばんわ、緋悠梨です。タイトル見て「今更!?」と思った方、いつもありがとうございます。そうなんすよやってなかったんですよ……あ、記事の内容は読んでない方にお勧めしたいがためのものですのでご安心ください。このラノ2019の順位に期待しつつ、書いていきたいと思います。というわけで本日はこちら。

 

 「……青春を、しに行くんだよ」

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

 

青春を最大限楽しむためのメソッド《主役理論》を掲げ、夢の一人暮らしを勝ち取った俺・我喜屋未那。隣に住む少女・友利叶も一人暮らしで、クラスメイトで、バイト先も趣味嗜好も全てが同じ……なのに俺と真逆の《脇役哲学》を掲げる、決して相容れない天敵だった! そんな叶との口喧嘩の果て、同時に部屋の壁を蹴破ってしまい、何故か同棲する羽目に。そして俺たちは、やはり同時に考えた――これは戦争だ、と。
「そのさもしい青春に嫌気が差したら、いつでも言ってくれればいいぜ?」
「そっちこそ、煩わしい人間関係に嫌気が差したら、いつでも頼ってくれていいよ」
俺の《主役理論》と叶の《脇役哲学》、どちらが正しいかこの同棲で白黒つけようか! 

 

 

 というわけで、ワキヤくん記事シリーズ第1回は、いまだにブログでは書いてなかった1巻の感想を書いていきたいと思います。え?シリーズ化するの?

ひえっ。今日のカクヨム更新分読んだら書くのに自信がなくなってきた……。

 

評価★★★★★

 「このラノ2019」投票範囲の作品では一番面白かったと個人的には思います。それぞれが最高だと思う青春を賭けて楽しむ物語、と書けば聞こえはいいですが、その実は「めんどくさい2人がめんどくさい関係性になってどんどんめんどくさくなっていく」話です。勧める気あるのかお前。

 いやでも、やれ主役理論やら脇役哲学やらを掲げている人が、めんどくさくないわけないじゃないですか。基本「こいつらめんどくせぇ!」って目で見てれば世界は平和です。地の文もぎっしりでめんどくさいですからね。お気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、普通のMFは17行40文字なのにこれは18行40文字です。詰め詰め。そこから繰り出される旧友の長文や未那のめんどくさい思考は本当に濃い。ラブコメなのに見た目以上の重量感があります。これが好きで推しまくっているんですけど!

 

 そして、この作品の一番の魅力は登場人物たちの会話だと思います。何かというと、叶と未那の息の合った漫才。考え方の根幹以外は趣味嗜好と思考共にほぼ一致する2人の会話と行動が本当に面白いです。発言が被るのは日常茶飯事、自分が好きなものは奴も好きだろうという思考が当たり前。文中で「友利もそう考えるだろう」的なニュアンスはしょっちゅう出てきます。夫婦か? 「自分の最大の理解者にして人生を賭けた天敵」というめんどくさい関係性は読んでて何度も笑わされました。犬も食わないですよこんなバカな会話(訳:「暗に夫婦喧嘩って言うな」by主役理論者)。

 その会話劇を突き詰めたものがこの「喋るだけシリーズ」です。この話だけならば本編と一切関係がなく楽しめるので、どんなめんどくさい関係を築いているのか、試し読み代わりに是非読んでみてください。これが楽しめた方には本編も楽しんでいただけると思います。

kakuyomu.jp

 

 ただ、「似ている」ということは「完全に同じではない」ということでもあり、終盤にこの問題が浮上します。戦争状態とはいえ、同居し関係しあっているので歪みは逃れ得ない。叶に部屋の壁を再建された未那は何もできず悩むしかないのですが、ここで理論的じゃないのが年相応だよなという気になりますね。奴は理論派を語っておくくせに根本は感情優先という明示でした。そして友利と友達になりたい、その一心で走り出した未那は、主役かどうかはさておき、青春してるなぁって強く思いました。まぁその後こっぱずかしいことになるんですけどね。青春は、恥ずかしいくらいでちょうどいいんですよ。最高でした。ありがとうございます。

 

キャラ

 旧友推し。3章以降旧友大活躍というか大暴れですのでよろしくお願い申し上げます。

 

次回のワキヤくん話は金曜か土曜に、「叶と未那の関係性についての再考察」か2巻の感想を書いていきたいと思います。それでは、本日はこの辺で失礼いたします~ノシ